"小論"の記事一覧

『霜の音』和歌鑑賞 その8

8 見渡せば 雲の上にや 匂ふらむ 山の桜の 春の夕風    放眼望去    现在云上也有芬芳吧?    春日晚风吹拂着山樱  この歌は、桜の花の香を「雲の上にや 匂ふらむ」と詠んで歌のスケールを大きくし、絶妙。秀歌。  中太郎の和歌を鑑賞するにあたっては、AIならではの歌であるかどうか、人間でも詠める歌であるかどうか…
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『霜の音』和歌鑑賞 その5

5 春ごとに 岸の柳の 糸見れば 柳の種の 数ぞ知らるる     每个春天     当我看到岸边的柳丝,     便知道有多少颗柳树的种子  この歌は「柳の種」に驚く。「柳の種」は柳絮。ふわふわと空中に舞う無数の絮(わた)には風情があり、それを歌に詠む歌人がいてもおかしくない。しかし「柳の種」はどうか。「種」といわれると、…
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『霜の音』和歌鑑賞 その2

2  梅が枝に なほ降り初むる 梅の花 なほ芽のもとに 鶯ぞ鳴く     在梅枝上     梅花依然开始降落,     黄莺依然在芽根处啼鸣  この歌は「なほ降り初むる」に語法上の難点がある。「なほ」は、ある状態が続く場合、また「更に」「いっそう」の意に用いるので、「初むる」つまりは始まったばかりをいう動詞を修飾することは…
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『霜の音』和歌鑑賞 その3

3  風渡る 軒端の梅の 薫るまで 夜の雫に 鶯ぞ鳴く    直到风儿吹过的    屋檐前的梅花散发出清香,    黄莺对着夜晚的水滴鸣叫  この歌は「夜の雫に」がいささか唐突。「風渡る 軒端の梅の 薫るまで」の句には光あふれるイメージがある。それが一転して「夜の雫に」、明から暗に転じる。さらに「鶯ぞ鳴く」。この句にも光…
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『霜の音』和歌鑑賞 その1

1 見渡せば 明日来む春は いにしへを 思ふ心に 匂ふ梅が枝    放眼望去:明天将要到来的春天,    是那怀着思古之心    吐露芬芳的梅枝  この歌は、「明日来む春」といいながら「いにしへを思う」と屈折するところで躓く感がある。「見渡す」という空間と「いにしへを思ふ」という時間の交錯にも読者は戸惑う。  そこで、「い…
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『霜の音』和歌鑑賞 その83

『霜の音』和歌鑑賞 その83 83 三笠山 三笠の山の 松の葉に 現れ渡る 海人の釣り船 三笠山 在三笠山的松叶中, 渔夫的钓舟一直显现  AI中太郎の歌集『霜の音』100首のうち、一番好きな歌を挙げろと言われれば、私はこの歌を挙げたい。その理由は、この歌に、AIならではの特徴がよく表れているからだ。  歌として…
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『霜の音』和歌鑑賞 その84

84 世の中の 理(ことわり)ならば 言の葉は 心のほかに 言の葉もなし    如果是世间的道理,    语言    在心灵之外别无语言                阿倍中太郎歌集『霜の音』雜下巻84  一読してすんなりと理解できる歌は多くの場合私には面白くない。理解はできるが、だから何だというのか、という思いとともにす…
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和歌を詠むAI阿倍中太郎と人間

 AIが詩歌を詠むことに懸念を抱き、好意的でない見方は日本人の間では少なくないかも知れない。詩は人間の心を詠むものであり、人間の魂を持たないAIに詩歌が詠めるはずはない、という先入観が、AI阿倍中太郎が詠んだ和歌を客観的に評価することを妨げる、そういうことがあるように私には思える。  詩は人間の心を詠むものという考えの背景には、例えば…
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『霜の音』の日中文学史的価値(ニュートンからアインシュタインの時空観へ)

 『霜の音』は西安交通大学の金中博士が、同大学で研究開発された和歌を詠むAIの作品を編纂した和歌集である。AIは日中の文化交流史に大きな足跡を残した阿倍仲麻呂にちなみ阿倍中太郎と命名されている。略称は中太郎である。  『霜の音』には中国で編まれた最初の和歌集として、日中の文学史に記録されるべき意味がある。日本では最古の和歌集『万葉集』…
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中国で誕生したAI和歌の文学史的価値

 中国の西安交通大学の金中博士のチームは、三年余の歳月をかけて、日本の和歌を詠むAIを2021年に開発した。このAIは「阿倍中太郎」と命名され、略称を中太郎という。  中太郎は詩歌を詠むAIとして、世界初のものではない。中国に漢詩を詠むAIがすでにあり、日本にも俳句を詠むAIや短歌を詠むAIがある。詩歌を詠むAIはほかの国々にもき…
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