世渡りや辛きに耐えて酒を抱く

『ハイドランジア』」について
 獅子鮟鱇の絵を描いてくれている足柄金太郎さんのブログの記事に「辛抱(しんぼう)」という言葉があった。

 漢語的には「抱辛(つらさを抱く)」となるところだし、漢語詞典にも「辛抱」という熟語は見あたらないから、和製の漢字表現なのだろう。
 江戸時代は日本独自の洒落た漢語を沢山生みだしているが、「辛抱」もそのひとつなのだろう。
 仏語「心法」→「辛抱」という説がある。「心法」は漢音で「シムホフ」、「辛抱」は「シンホウ」。
 中国人の耳は、シムホフという音をシンホウと聞くことはできないだろう。
 しかし、日本人の耳なら、シムホフをシンホウと読みかえ「辛抱」を思い浮かべることができる。

 和製の漢字表現、わたしは洒落ていて面白いが、
 多くの漢詩人は「和習」と呼んで作詩では厳しく避けるべきこととしており、えらい先生に見てもらえば、必ず朱筆がはいる。
 しかし、ちょっと工夫すれば漢詩でも使える。

      七絶・辛 抱         2012.06.19 -1338

  人無才筆蹈江湖,難耐酸辛抱酒壺。緑水青山俳句道,風餐露宿苦長途。
  ○○○●●○平,○●○○●●平。●●○○○●●,○○●●●○平
                (中華新韵十四姑平声の押韻)
  人に才筆なきに江湖を踏めば,
  酸辛 耐へがたくして酒壺を抱く。
  緑水青山 俳句の道,
  風餐露宿し長途に苦しむ。

      五七令・辛 抱        2012.06.19 -1339 

  俳人傷世途,茹苦含辛抱酒壺。
  ○○○●平,○●○○●●平(中華新韵十四姑平声の押韻)

  俳人 世途に傷み,
  茹苦含辛(苦しきを喰らい辛きを口に含んで)
  酒壺を抱く。
画像

          鮟鱇喜海暝,大抵昏昏睡。點火口前燈,奇魚鱗聚戲。
          画:足柄金太郎 http://ashigara-kintarou.at.webry.info/

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック